黄金の環へ

翌日からモスクワ近郊、黄金の環の中の五つの街をぐるっとまわる予定だった。一応近郊ということで移動手段の予約は必要なく、自由に電車やバスを利用することができる。街と街の間は数時間の移動で、1日ひとつの街を観てまわる計画でホテルを予約してあった。電車の通っていない街もあるが、一応各街の間にバスが通っていることを日本の代理店に確認してあった。が、時刻表の情報は得られず。一日に何本のバスが通っているかで、この計画はタイトにもルーズにもなるが、最悪でも一日一本でもバスがあれば、最後のほうの街は泊まるだけで素通りすればなんとかなるだろうという読みだった。というわけで午前中移動午後街歩きというのが、せめてもの安全策だった。

とりあえず最初の街ウラジーミルへ向かうバスの時刻表を調べねばと思っていた。ウラジーミルは黄金の環の中でも代表的な街で日本からのツアーにも組み込まれている場合がある。ガイドブックには1時間に一本程度便があると書いてあり、「最悪でも1時間待てばいいんだ」と、眠気に勝てずこれを信じることにする。これまで何度となくガイドブックには騙され、痛い目にあっているわけだが、こんな時は信じたくなる俺。あー、最初っからこれだよ。まぁ、明日のことは明日考えようというわけで就寝。

翌朝。ホテルで朝食(今回は全部朝食付き)をとって、適当にバスが出ると言うクールスク駅へ。地下鉄クールスカヤ駅で降りて地上へ出る。さてバスはどこでしょう。分かるわけありません。字も読めません。聞いてみましょう。行き先の書いていないバスが一台だけぽつんと止まっていて、その運転手を捕まえる。

俺:「ウラジーミル?」(ガイドブックのロシア語表記を指差す)
運転手:「このバスだよ」(自分のバスを指差す)
俺:「何時出発?」(腕時計を叩くそぶり)
運転手:「5分後」(指を5本見せる)
俺:「乗っていい?」(人さし指で自分の胸とバスの入り口を交互に指差す)
運転手:「いいよ」(頷く)

以上お互いに一切言葉を発していない。(笑)


[トイレ休憩で止まったドライブインにて]

それにしても、何の下調べもなしにこんなにスムーズに乗れるなんて珍しく、ある意味薄気味悪いとか、つまんないとか思いつつ、3時間程度でウラジーミル到着。

0 件のコメント: