どんき

先週の土曜日はレポートの締め切り直前だと言うのに、この男はいったい何をしていたのだろうか。
まずは、期間限定逆単身赴任中のかるろす氏に誘われてまたまたJリーグ観戦。今回は川崎vs京都(@等々力競技場)。観戦後かるろす氏と別れて友人と連絡をとり、待ち合わせの銀座へ。


[また買っちゃった...。]

この友人、韓流ブームとは縁のなさそうな風貌をした韓国人だ。彼とは8年前にバンクーバーで知り合った。当時まだ就職浪人だった彼は、俺の「日本人嫌いか?」という質問に「日本も、日本人も好きだが、日本政府は嫌いだ」と言っていた。こんな質問を面と向かってする俺も俺だが、他の韓国人があたりさわりのない答えをするなか、この男だけはなにか違っていた。その後俺は韓国の彼の家に遊びにいったこともあったし、また彼も日本に遊びに来た時には連絡をくれた。

金曜の夜、人伝てに彼が仕事で日本に来ることを知っていた俺のもとに連絡がはいった。銀座松屋のルイヴィトン前で俺を待っていた彼は、相変わらず中途半端に上手な日本語と英語のミックスで話をしてくる。今回3年ぶりの再会となった彼は、韓国の新聞社に勤めるようになっており、日本の新聞社を視察して回っていたようだ。

彼は銀座の街をぶらぶらしながら、日本最後の夜に何を食べようかと悩んでいた。スキヤキを見つけた彼は目を輝かせたが、「高い」と言って他を探しだす。お腹を空かしている割に根気のある彼だったが、最後には妥協した感じで蕎麦屋に入ろうとする。そんな姿を見て俺は無理矢理彼をスキヤキ屋に押し込んだ。


[日本語は少し下手になったかな...。]

昔話に花が咲いてひと段落した頃、今回日本で何をしていたかを聞く中で、彼は仕事の合間に靖国神社に行って来たと言う。そんな流れで話は自然と北朝鮮の話だったり、太陽政策の話だったり、靖国参拝の話だったり、終いには東京裁判やらサンフランシスコ条約の話まで飛び出す。彼の話にはちょっとそれは違うという部分もあるのだが、国も違えば立場も違い、ましてや報道にたずさわる彼の意見は俺にとって新鮮だったし興味深く聞くことができた。彼にしても、日本の一般市民である俺の言うことに熱心に耳を傾けることができたようだ。

その後彼の買い物につき合って、新橋のスーパーに入り寝る前の缶ビールやらつまみやら次の日の朝食やら、どいうわけか安売りのインスタントコーヒーの特大ボトルやらを買い込む。その後鞄が欲しいと行ってドンキホーテに入ったが、あーでもないこーでもないと言った挙げ句何も買わずに出て来た。彼と別れて電車に乗ってしばらくしたころ携帯の振動に気付く。彼のレンタル携帯の番号が表示されていたが、まだ電車の中ということで出なかった。

彼もまた旅好きであちこちに行っているし、日本も初めてではないので道に迷ってホテルに戻れないなんてことはないと思うのだが、何かトラブルに巻き込まれているとまずいと思い電車を降りてすぐにかけ直すと、彼は既にホテルに戻っていて缶ビールを片手にしているようだった。「何か問題でも?」という問いに彼は「いや、何も無い」と言った後こうつづけた。

「Toshiki、ドンキホーテって何時に開くんだ?」

どうやら特大インスタントコーヒーが入りきらず、やっぱり鞄を買おうと思ったらしい...。

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