ユナイテッド93



先月で5年たった9.11に関する映画が今年は相次いで公開される。まだまだ記憶にあたらしく、早すぎるんじゃないかなんて議論もあるようだが、その先陣をきった「ユナイテッド93」を昨夜オールナイトで観て来た。United93便はあの時ハイジャックされた4機の内、唯一目標に到達できずに墜落した旅客機で、「テロに勇敢に立ち向かった40名の乗客達を忘れないでほしい」という宣伝文句だった。俺はこの文句に変な人間ドラマだったり、ヒーロー物に仕立て上げられたりしていたらつまらないと思い、観に行くべきかどうか迷っていた。

ところが、これがとんでもない映画だった。まさに手に汗握るあっというまの2時間だった。ハンディで撮られた揺れる画面に各地の管制塔だったり機内の様子だったりがあわただしく切り替って行く。取り立てて有名な俳優は出演しておらず、誰が主人公というわけでもなく、テロ実行犯も含めた一人一人の「あの時」の様子が映し出されていた。管制塔の大画面に当時何度もニュースで流された衝撃のシーンが映し出されたとき、スクリーンにはあの時誰もがしたであろう表情がならんでいた。

もちろん、テロ実行犯が直前にどんな行動をしていたかなどは分かるはずもなく、実際にUnited93便に乗っていた人は全員死亡しているわけで、想像、脚色された部分も多々あるのだろうが、実に控えめで違和感を感じないできだ。テロ実行犯がコーランを読み上げるシーンから始まり、淡々と綿密な取材に基づく事実の羅列、そして救いのない突然のエンディングは後味の悪いものかもしれない。これを映画として評価すべきかどうかも疑問だ。おそらく、9.11に何も関心の無い人、何十年後かに9.11を知らない人が観たらなんてつまらない映画と思うにちがいない。

でも、5年前にニュースを観てなんらかの衝撃を受けた人は、観ておいて損のない映画だと思う。

http://www.united93.jp/

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