ふり〜ず
[エルミタージュ美術館]
「このまま眠ってしまってもいいかな」という思いがよぎったが、なんとか起き上がる。この日は土曜日で、翌日曜日は休館となるエルミタージュ美術館だけはこの日の内に見なくては。この美術館、とにかく広くて展示品が多い。絵画や彫刻だけでなく、宮殿装飾や家具などなど。俺の興味の対象は19-20世紀の絵画だが、せっかくだから主立った所はざっくり見ておこうかという作戦だった。それでも結構時間かかったかな...。
俺は絵画に詳しいわけではないが見るのは好きだ。日本でも気になるものがあれば足を運ぶ。その中で気に入った一枚でもあればいいなぁといった程度だ。海外の美術館は、広々としていてのんびりと見れるところがいい。「海外の美術館は」と言うのは少々語弊があるので、「常設展は」と言い換えておこう。が、それでも団体ツアーのご一行様とかち合ってしまうと、そうのんびりともしていられない。
この日かち合ったのは中国人のご一行様。レオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロの前は黒山の人だかりで覗き込む隙間もないほど。一般に美術館などでは撮影禁止だったり、最低でもフラッシュは禁止だが、ダ・ヴィンチの「リッタの聖母」などはまるで出産後の退院記者会見のようにフラッシュを浴びていた。
そんな人込みから逃れるように別の部屋へ。ふと目についた彫刻がミケランジェロのものだった。近くによろうとしたが、女の子がデジタルカメラを構えていたので、その後ろで撮り終わるのを待つ。地元の美術好きの女学生といった雰囲気のその娘は慎重でなかなかシャッターを切らない。その時後ろからご一行様の迫り来る気配が。俺は心の中で「早く早くっ」と自分のことのように焦っていた。
そしてシャッターは押された。ちゃんとフラッシュは切られており、おそらく手ブレを気にして慎重になっていたのだろう。数秒の後、液晶画面に表示されたものは、
中国人男性の「うなじ」の超どアップ
だった。
それを見た女の子は8秒ほどフリーズ。その後ろで息を殺して大爆笑する俺。そんなシーンに立ち会えたことに感謝するとともに、フリーズした表情が素敵だった女の子と、綺麗に刈り上げたうなじを提供してくれた中国人男性にスタンディングオベーションだ...。
関連リンク:
Wikipedia エルミタージュ美術館
エルミタージュ美術館公式サイト
大エルミタージュ美術館展
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿