観光したおはなし(その2)

22/Oct/1998(Thu)



やれやれ学校も決まって、今日も天気がいい。出かけない手はない。せっかくカナダに来ているのだから、自然を満喫しようとNorth Vancouverを目指し出発。いつものSky Trainに乗って終点のWaterfornt駅でSea Busに乗り換えBurrard入り江を渡った向こう側がNorth Vancouverだ。Sea Busの一番後ろの席に座り、だんだん小さくなっていくDowntownを見ながら10数分の短い船旅を楽しんだ。(写真左はSea Busから見たDowntown)
さて、Sea Busを下りてからさらにバスに乗り換える。まずはCapilano Canyonにある吊り橋を目指す。



このとき初めてバスに乗ったのだが、こっちのバスは「次は~です」というアナウンスがなく、自分の降りたい場所で窓の所にあるヒモを引っ張ると止まってくれる。そんなこと言われても初めて来た場所で、どこで降りればいいか分かるはずもなく、ひたすら窓の外を見て"Capilano Suspension Bridge"の看板を探した。看板を見つけて慌ててヒモをひっぱると、少々急停車ぎみに止まってくれた。そんなわけで他に降りる人はいないのかと思いきや、「あぁ、ここだここだ」と言わんばかりに数人の観光客が下車。ちぇっ。
入場料C$9.58を払って中に入るとまずトーテムポール(写真右)が出迎えてくれる。国籍不明の女の子がよってきてシャッターを押してくれと言うので、それなら俺も撮ってくれとお願いした。望遠機能のついた俺のカメラを見て、しきりに「いいの持ってるな」と言ってじろじろ見ていた。



とりあえず高さ70m長さ137mの吊り橋だ(写真左右)。思ったよりも恐いという感じはなく、つかまらないでも大丈夫。橋の中央附近で渓谷の底を撮ろうとカメラをかまえるが、揺れているのでだめだ。さっきの女の子もすぐ横でカメラをかまえたままシャッターをきれないでいる。そんな所に反対側から10代前半位の悪ガキ軍団登場。揺らす揺らす。これでもかというほど揺らす。これには流石につかまらないと立ってられない。隣の女の子はとうとう座り込んでしまい、ちょっとむっとした様子だが、特にわめくでもなくなかなかたくましい。俺も嫌いじゃ無いので揺れを楽しんでいたが、隣の女の子のにらみが効いたのか、揺らすのをやめた。と思いきやスレ違ってからしばらくして再開。なかなか微笑ましい悪ガキっぷりで笑えた。



橋の向こう側は背の高い木が立ち並び(写真左)、薄暗い林になっている。池がぽつぽつとあって、魚が泳いでいるといった感じだ。園内はそんなに広く無く、30分もあれば十分に一周できる。再び吊り橋を渡って戻ると、そこではインディアンのおじさんがトーテムポール作りの実演をしていた(写真右)。そばに座り込んでしばらく見ていると、時折こっちを向いて、にっこりと愛想をふりまいてくれる。できあがるまではまだまだかかりそうだ(本当に最後まで作るんだか...)。
はて、入り口でもらったスタンプラリーの最後のひとつが見つからない。どーせ帰ったら捨ててしまうのだが、ひとつだけ無いのはくやしい。しばらく探していると、なんとお土産屋の中にあった。やれやれだ。



さて、園内を出てGrouse Mountainに向かうつもりだったが、横に鮭の孵化場の看板が目についた。Capilano Park(ここは無料)の中にあるようだ。時間もまだあるしよってみようとCapilano Parkに入った。ここも薄暗い森なのだが、公園地図を見るととてつもなく広い。さまよえど、さまよえど、いっこうに孵化場は見当たらない。しかも俺以外には人陰が無い。とりあえず時々看板を見るので公園の敷地内からは出ていないようだが...。そうこうしていると、ぽっと河原にでた(写真左)。静まり返っていて聞こえるのは川の流れる音と風になびく葉っぱのこすれる音だけ。遠くに釣りをしている人が見える。なんとなくのどかな気分になって、大きめの石の上に腰を下ろしていると後ろの方でガサガサと大きな音がした。まさか熊なんかでないよなと思いつつ辺りを見ていると、大きな犬が主人と一緒に散歩に来たようだ。川に飛び込み泳ぐ泳ぐ。主人が石を投げ込むとそこに向かってあっち行ったりこっち行ったり。犬も大変な主人を持ったものだ。

再び鮭の孵化場を探してさまよう。やっとのことで見つけて入ってみると鮭の卵から大きくなる様子が展示されている。日本語やその他にもいろいろな国の言葉で説明書きが貼ってある。面白かったのは鮭の川登。人工的に作られた水の流れを鮭が登っていく。側面がガラス張りになっていてその様子が見える仕組みだ。飛ぶんですねー、これが本当にすごい勢いで。面白がってしばらく見ていたが、子供軍団がやって来てガラスの前にへばりついてしまったのでやめた。



公園地図を見ると、かなりの距離をさまよい歩いたのがわかる。出口を探していると、すぐそばにCapilano Lakeがあった。よってみましょう。どうやらこの辺が公園の中心部らしい。薄暗い森から一転明るく、綺麗な芝がはってあり、大分人が多くなって来た。テレビの健康器具通信販売で見るような、見事なプロポーションのエクササイズおばさんが、派手なぴちぴちパンツを履いて、白い大きな犬と一緒にジョギングしていたりする。かっこいい。この辺は優雅なお金持ちの住むところで、大きな家が並ぶ閑静な住宅街なのだ。湖の向こうには絵はがきのように山が見える。写真右はCapilano Lakeのダムの上から見たGrouse Mountain。このダムの上には金網が貼ってあるのだが、風景を見るためにところどころに小さな穴が空いていてそこから撮ったものだ。いいかげん寄り道ばかりしてないで行かなくては。

公園からバスの通る道にでてバス停まで行ったが、時刻表がない。たしか30分に一本か最悪1時間に一本だったはずだ。Grouse Mountainへ登るSkyride(ゴンドラ)は見えている。歩いちゃいましょう。とぼとぼ長い登り坂を歩き出して10分位するとバスが追い抜いて行った。ちぇっ。
やっとこ到着。Skyrideに乗って一気に上に登る。ここは冬はスキー場として営業するが、見晴しがいいために夏でも観光客が訪れる。登ると展望レストランがあり夜景を見ながらのDinnerを楽しめるようだ。辺りを一周してみたがなんか期待はずれで、そんなに見晴らしはよくない。



ガイドブックによるとさらにリフトに乗って200m上の山頂まで行けるとのことだったが、なんとそのリフトが動いていなかった。途方にくれていると小さく歩いて登っている人が見えた。そうです。リフトが動いてないなら歩きましょう(今日はよく歩く)。急な傾斜を登ること20分位。途中降りてくる人が脚を滑らせて転げ落ちるのを横目に山頂に到着。これはすばらしい。ここ数日天気がよすぎたせいもあり水蒸気でDowtownがぼやけて見えるのが残念だ。時刻は17:00位。右手に沈もうとする太陽の強烈な光をあびてDowntownのビルが光っているのがわかる。大きな岩の上に寝転んで水を飲んでいると手の届くところに鳥がよって来た。そっとカメラをとりだして撮ったのが左の写真だ。これは夜景もすばらしいはず。暗くなるまで待ちましょう。



1時間位してようやく日が沈んだ(写真右)。太平洋に沈む夕日と言いたいところだが、残念ながら手前にはVancouver Islandがあるのだった。さすがに冷え込んで来た。後ろの方で中国人らしきカップルがもめている。どうやら彼女の方は寒くて早く降りたいようなのだが、彼氏の方は夜景をカメラに撮りたくて立派な器材を持って暗くなるのを待っているらしい。とうとう彼女の方は一人で降りて行ってしまった。周りにいた人もどんどん降りはじめ、残った物好きはその彼氏と俺だけになってしまった。19:00過ぎ位に、すっかり空が暗くなり夜景らしくなった。あまりに広範囲に見えるので宝石をちりばめたという感じではない。ところどころにある大きな宝石(街)同士を金の鎖がつないでいて(幹線道路)その合間に金のラメをまぶした感じかな。俺の表現力ではこれが精一杯だ。なれない表現はやめましょう(反省)。

寒さと空腹のため腰をあげ降りた。Skyrideの乗り場でさっきの彼女が退屈そうにしている。彼氏はまだ上にいることを伝えると少々膨れっ面になった。待ちくたびれているようだ。一気にふもとまで降りると、運よく1時間に1本のバスに5分待ち位で乗ることができた。終点のSea Bus乗り場で下車。今度はSea Busの一番前に座り、だんだん近付いてくるDowntownの夜景が見える。歩き疲れて脚が棒になっていたが、充実した一日だった。

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